2019年01月17日 02時00分

シンクロ男子から学ぶ非常識

ふくもり

矢口史靖 「ウォーターボーイズ」

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「シンクロ」というスポーツは女性がおこなうスポーツだという「常識」があった。しかしこの本で描かれているのは「男子校でのシンクロ」である。ある男子高校生がシンクロに憧れを抱いたことから始まり、仲間5人たちがシンクロ部を結成し、文化祭で演技を披露するまでの日常を描いた作品である。映画化、ドラマ化もされ、シンクロブームを作った一冊である。この本から学んだことは「常識にとらわれることなく、好きなことをやり通す」大切さだった。男子高校生はもちろんシンクロ始めた当初、親に反対されたり、周囲の友人から笑われたりと認められることはなかったがそれでも彼らはあきらめずにシンクロを続けていた。そんな姿が次第に周りをも巻き込み、男子だってシンクロやって良いじゃないか!という「非常識」を当たり前にしてしまったのである。ここに当時の私は純粋にかっこいいと思えた。「好きなことは好きなだけやる、それがたとえ非常識なものだったとしても」というチャレンジ精神を教えてもらった。我々は偏見や常識によってあらゆる可能性を失っているかもしれない。しかしそれらを取っ払ってどんな困難があったとしても好きなことをする、なりたい姿にはなるということの大切さをこの一冊に教えられた。またこの物語ではシンクロの練習を水族館でおこなったり、アフロやおねえ系など個性豊かな5人の登場人物など笑いあり、涙ありのシンクロ男子の青春奮闘劇は物語として本当に面白い。作中に出てくる素朴な絵もまた魅力的である。こんな青春を過ごしたかったと羨ましがったり、あの頃に戻りたいと思わせてくれる一冊になっている。「当たり前」を当たり前だと思わないことは多種多様な価値観が存在する現在にとっては「当たり前」であり、この本が出された当時ではかなり先駆け的なものだったと思う。そんな点も評価したい。本としては短めの作品になっているのでぜひ本をあまり読まない人に読んでほしいと思う。


この書評に対するリレー書評:




2019年01月22日 13時13分

当たり前精神

酒井優太

児玉光雄「「ついていきたい」と思われるリーダーになれる本」

 この世の中では様々な変化が日々起こっていくが、人々の考え方も変化しているのではないかと思う。「ゆとり世代」などという言葉もあるよう・・・

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