2019年11月13日 07時55分

2035年の世界。

さわ

旺季 志ずか 「虹の翼のミライ」

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人々が“今”の幸せだけを考えて生活し続けた結果。2035年の世界では、海が黒く濁った泥水の塊と化し、それに伴って雨水も毒され、農作物も育たない。貧富の差が広がり、裕福な者だけが、最新技術によって豊かさを享受する。そんな時代に生まれたミライがタイムスリップをくり返しながら宇宙の叡智を学び、未来を変えていく。そんなストーリー。物語で描かれていた未来の世界は、ありえそうだと感じてしまう部分もあった。主人公が、過去に戻って“スマートフォンでのゲームに依存できるなんて、平和な時代だ。人々はこれからどんな未来が待ち受けているのかも知らないで、ただ今の自分の生活のことだけを考えて生きている”というような、一文gああった。今ある豊かさ、自然の恵みに目を向けるとともに、地球の資源を吸い尽くし、より豊かに、一方でより貧しくなろうとしている現代の状況を見つめる必要があると感じた。

私たちはどこか、今ある幸せが永遠に続くように、感じてしまう。人は必ず死ぬということを知っていながらも、自分はいつまでも死なないような感覚を持ってしまいがちだし、死というのはまだずっと遠くにあるように感じている。それと同じように、資源についても、有限であり、いつかは終わりが来る。人口が増えている現在、その資源も急速に減少しつつある。そんな現実からは目をそらしたくなってしまう。どこか、“まだ大丈夫だろう”そんな気持ちになってしまうのだ。

しかし、本書で描かれていた2035年の時代に、きっと私たちはまだ生きていて、自分たちがしてきたことの代償を受け取っている。“自分たちが生きてる時代くらい大丈夫だろう”そんな考え方も通用しなくなってきているのではないかと感じた。自分の人生にも大きく関わりをもつことなのであれば、私自身を含め、人々はもっと前のめりになって、今の地球の現状を見つめ、どうにしかしようという改善策を見出そうとするのではないかと思った。