2019年04月16日 06時14分

身体をMUSTから解放する

chamo

坪田聡 「朝5時起きが習慣になる「5時間快眠法」」

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とにかく、早起きが苦手だ。早起きする時は大抵なにかを"しなければならない"時で、誰かが決めたから早起きする。仕事にしても、バイトにしても、授業にしても、「それが誰かが決めた"マスト"であるからしなければならない」という状況はなかなかに辛い。

たまに「ショートスリーパー」なる人に出会うことがある。睡眠時間が3〜4時間でも活動できちゃう人のことだ。仕事をバリバリやっている人の中にはこういった人もいて、私も真似をして夜中に決意をしたものだった。「よし、今日は5時間睡眠でいくぞ!」その日に限ってぐっすり眠れたものだった。

人間には「ショートスリーパー」「バリアブルスリーパー」「ロングスリーパー」という3つの型があるらしく、8割の人は「バリアブルスリーパー」であるらしい。これはある程度柔軟に睡眠時間を減らしたり増やしたりできる人たちで、平均6〜8時間睡眠をする人たちのことだ。私も恐らくこのバリアブルスリーパーに属する。

バリアブルスリーパーであれば、この本の趣旨のように「朝5時起きを習慣にすることもできる」というのだ。高校時代に遅刻最多回数を記録し学年一の不良から恐れられた私にとっては夢のような話である。

ただもちろん、この本を読んだからといっていきなり次の日から朝5時起きがうまくいくわけではない。この本ではじっくり2ヶ月かけて7-8時間睡眠をしていたところから5時間睡眠でも質の良い眠りをするコツを少しずつ会得していくのだ。その中でも印象に残ったものは、以下の2つだ。

1.人間には決めた時刻に目覚ましなしで起きられる能力を持っている

2.仮眠は取ったほうがよい

1は、目覚ましと敵対して二十数年になる私にとっては衝撃の事実だ。思えばあの存在があったからこそ目覚めがあんなにも忌々しいものだったのかもしれない。目覚ましはいつも大きな音で私たちの身体にストレスをかけ、同時に"しなければならない"責任と重圧を想起させ、彼に歯向かい布団に潜れば社会不適合の烙印を押される…。そんな重た〜い圧を毎日受けている人も少なくないだろう。だがしかしなんと、人間はそもそも起きたい時間の少し前から身体が起きる準備を始めるため、大体の起床時刻には起きられる能力が備わっているらしい。「え、起きられないよ」という人もいると思うが、基本的には規則正しい時間帯に身体がチューニングされていることが前提条件である。就寝と起床の時刻を守るように生活したら、本当に目覚ましなしで大体起きたい時刻に起きれるようになった。人間の身体は凄い。

2は仮眠の有効性についてだが、そもそも人間は睡眠を分割してとっていた生物だったらしい。弱い生物は長い時間寝ていると敵に襲われてしまう可能性が高くなるので睡眠を分割して取るのだという。こちらも義務教育時代に散々居眠りを注意された身としては、身体を律することを過剰に要求されるシステムの中に埋め込まれていたのだなあなんてことも思ってしまう。しかも仮眠は数秒のものから10分、20分単位で取ってもよく、一日20分の仮眠がその日のパフォーマンスを良くするとのことだ。

「睡眠時間を削る」と聞くとついつい身構えてしまうが、この本の中に書いてあることは特別なことではない。ただ自分の身体の状態をきちんと把握し、理解した上でより自分が有意義な時間を楽しむために必要なちょっとしたコントロール方やコツが書かれている。自分の身体との理解を深めることで”しなければならない”から脱却し、自由な時間を使ってやりたいことを楽しむことができる。そう聞くと、少し早起きをすることにわくわくしてこないだろうか。長年早起きが苦手に思っていた自分も、この本を半信半疑で読んでからなんだかんだで早起きが出来ている日々が続いている。あなたももし早起きが苦手で、それでも爽やかな朝の匂いに密かに憧れているのだとしたら、そっとこの本を教えてあげたい。